関節リウマチの治療

生物学的製剤

2013/02/02更新

 生物学的製剤は、遺伝子組み換え技術を用いて作られた新しい治療薬です。関節リウマチの炎症に関わる炎症系サイトカインの働きを抑える薬です。一般の抗リウマチ薬以上の高い効果が認められています。十分なメトトレキサートなどの抗リウマチ薬を使っても炎症が治まらないようなときに、使用が検討されます。
 関節リウマチの炎症が引き起こされるのは、炎症系サイトカインが放出され、それを受け取る受容体にくっつくためです。生物学的製剤は、炎症系サイトカインが受容体にくっつかないようにして、炎症を抑えます。そのため、生物学的製剤はサイトカイン阻害薬と呼ばれることもあります。
 日本で認可されている生物学的製剤を次に示します。

 

インフリキシマブ(商品名:レミケード)

 TNF-αという炎症系サイトカインの働きを抑えて炎症を抑えます。点滴投与する薬です。最初に点滴を受けてから2週後と6週後に受け、その後は8週間感覚で受けます。メトトレキサートと併用します。

 

エタネルセプト(商品名:エンブレル)

 TNF-αの働きを抑えて炎症を抑えます。週2回皮下注射します。自宅で注射することができます。

 

アダリムマブ(商品名:ヒュミラ)

 TNF-αの働きを抑えて炎症を抑えます。2週間に1回皮下注射します。自宅で注射することができます。

 

 インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブは、結核の副作用の可能性があります。専門の医療機関で管理をしながら治療を行う必要があります。

 

トシリズマブ(商品名:アクテムラ)

 IL-6という炎症系サイトカインの受容体の働きを阻害して、炎症や発熱、貧血といった全身症状を抑える効果があります。日本で開発された薬です。4週間に1回点滴投与します。重篤な副作用が比較的少ないとされています。

 

 

 生物学的製剤は大変効果の高い薬ですが、値段が高いというデメリットがあります。3割負担の患者の方でも、年間数十万かかるのが一般的です。ただし、場合によっては公的補助を受けられることもあります。

 

生物学的製剤の副作用

 生物学的製剤はすべての人に効くわけではありません。また、次のような副作用がでることもあります。使用する際は、治療方針をきちんと決める必要があります。

  • 感染症…免疫の働きが低下するため。「結核」「肺炎」などにかかりやすくなる。
  • 間質性肺炎…肺胞の壁(間質)に炎症が起こる。特殊な肺炎。
  • 発疹
  • 頭痛
  • 胃腸障害

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